無知による差別・・・・ハンセン病
かつてこの病は容赦のない差別にさらされていた時代があった。 先日亡くなった 詩人の 塔和子さんは 小6の時に発病し 瀬戸内の島にある施設に入って 83年もの間そこで暮らした。 詩集は19冊にも及ぶが こんな言葉を残している 【私は砂漠にいたから 一滴の水の尊さがわかる 海の中を漂流していたから つかんだ一片の木切れの重さがわかる】 【・・・・・ ああ 何億の人がいようとも かかわらなければ路傍のひと 私の胸の泉に 枯葉一枚も 落としてはくれない ・・・】 「胸の泉に」 かかわらなければ この愛しさを知るすべはなかった この親しさは湧かなかった この大らかな依存の安らいは得られなかった この甘い思いや さびしい思いも知らなかった 人はかかわることからさまざまな思いを知る 子は親とかかわり 親は子とかかわることによって 恋も友情も かかわることから始まって かかわったが故に起こる 幸や不幸を 積み重ねて大きくなり くり返すことで磨かれ そして人は 人の間で思いを削り思いをふくらませ 生を綴る ああ何億の人がいようとも かかわらなければ路傍の人 私の胸の泉に 枯れ葉いちまいも 落としてはくれない 「涙」 あるとき 死のうと思った私が夫に 「一生懸命なのよ」というと 夫は 「同じ一生懸命になるのなら 生きることに一生懸命になってくれ がむしゃらに生きようではないか」と 言ってくれた 私は目が覚めたように そうだと思った どんなに一生懸命に生きたとしても 永遠に続いている時間の中の 一瞬を 闇から浮かび上がって 姿あらしめられているだけだ いのち この愛けないもの 思いっきり我が身を抱きしめると きゅっと 涙が にじみ出た