親の介護
早稲田大学の機械工学科を卒業したという 事業家、文筆家の肩書を持つ平川克美 氏は
2年間 父親を介護し、それをもとに 小説仕立てにして発表した。
『俺に似た人』 である。
自身の経験から介護はやった方がいい、という結論が出たそうである。
真正面から介護に向き合うのは非常に興味深く 親を介護すると 《人は誰しも誰かから生まれ、大きな時間軸の中で生きている、一人ではないんだ》 ということがはっきり分かる、と。
自分はずっと生きられる、という感覚を多くの人が持っているが 介護を通じ 自分もそう遠くない将来に必ず死ぬ、ということを自覚できた、人間の生き死にというものが実感として自分の中に入ってくる、このごろは《介護を経験してやっと一人前》 、と思っている、という。
この小説に対して 平川氏自身はの次のように語っている
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親父を、介護してみた。
昭和という時代に、町工場で油まみれになって働いていた父親。
若い頃絶対に相容れないと思っていた、「俺に似たひと」のために、 仕事帰りにスーパーでとんかつを買い、肛門から便を掻き出し、「風呂はいいなあ」の言葉を聞きたくて入浴介助を続けた――。
義務感から始めざるを得なかった介護。
その中で透徹した視線で父親を発見し、老人を発見し、さらには「衰退という価値」を発見していく ”俺”の物語
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確かにそうである、 もうとっくに高齢と言われる年齢になっているのに 「自分もいつかはきっと死ぬ」ということを忘れてしまっている。
身近な人の病気がわかって オタオタしている自分は やはり 「人はいつかは死ぬ」ということを日々の生活の中で 自覚できていなかったからに違いない。
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