ハダカデバネズミ

 


この作家さんの本「博士の愛した数式」を読んだことがあり 内容から受けたイメージとは全く違う小説だったが 『すごく文章の運び方が上手!』と 感じたのを覚えている。


この本「とにかく・・」は新聞に月一度連載していたものをまとめたエッセイ集。46編。

年老いた老犬ラブをはじめとして鳥の小説を書こうとして飼い始めた一羽の桜文鳥ブンちゃんのことなど。 それぞれののエッセイの中にずいぶんたくさんのいろいろな種類の動物が出てくる。カバ、ザトウクジラ、アメーバ etc.


中でも ハダカデバネズミのことは私は今回まで知らなかったが この作者はあることでこの「出っ歯のねずみ」のことを知り この生き物を気にいって ハダカデバネズミのことを書いてある本を机のそばに置き執筆に悩んだ時にそれを眺めているという。 

それどころか「本音を言うと仕事机のわきに巣箱を置き、実際に飼いたい気持ちがある」のだとか。東アフリカに生息し、地下に穴を掘って生活しているらしいが 作者はこの動物の生態、というか社会生活に惹かれたという。

「でもねずみでしょ、どんな形をしているの?」とネットで画像をみたら 出っ歯は確かに愛嬌があるかもしれないけれど 皮膚が薄く内臓が透けて見える感じ。だから「ハダカ…」と着くのだろう。 どちらかというと私にとっては気持ちが悪い。

いくつかのエッセイの後に このハダカデバネズミを抱っこする機会があらわれた、とも書いてある。群れの中にたった一匹の女王様がいて 赤ちゃんが生まれた後の群れの行動などは確かに興味はあるけれど・・・


これらのエッセイの中には いろいろな本の中身が引用されていて その本を自分も読んでみたい、と何度も思った。

なかでも「世にも奇妙な職業案内」と「機嫌のいい犬」はぜひ読みたい。

どのエッセイも 小さなものや何気ないものに対して愛情をもって接し 観察しておられることを感じ、小川洋子さんの人柄がそういう方なのだ、と感じた。

ご本人の写真を見て 「額の広い人・・・」と思っていたが 洋子さんが子供のころ母上は「額に髪の毛がかかると頭が悪くなる』と思っておられたそうで 常に前髪を頭のてっぺんで結わえていたのが原因で 「大きすぎる顔を髪の毛で隠そうとしても言うことをきかず テカテカした額が出てしまう」と 一つのエッセイに書かれていて笑ってしまった。







 

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