「死」や「老い」

天野祐吉の「隠居大学」という本を読んでいたら 詩人谷川俊太郎との対談があった。

この日の対談のタイトルは 【宇宙人をめざそう】  だとか





天野は谷川を「宇宙人じゃないか」とひそかににらんでいるそうで 最初の頃は「宇宙人が隣に越してきて詩を書いているんじゃないか、とそんな気がしていた」そう。

その対談の中で谷川の詩の朗読を天野が頼んだ。


「さようなら」

私の肝臓さんよ さようならだ
腎臓さん膵臓さんともお別れだ
私はこれから死ぬところだが
かたわらに誰もいないから
君らに挨拶する

長きにわたって私のために働いてくれたが
これでもう君らは自由だ
どこへなりと立ち去るがいい
君らと別れて私もすっかり身軽になる
魂だけのすっぴんだ

心臓さんよ どきどきはらはら迷惑かけたな
脳髄さんよ よしないことを考えさせた
目耳口にもちんちんさんにも苦労をかけた
みんなみんな悪く思うな
君らあっての私だったのだから

とはいうものの君ら抜きの未来は明るい
もう私は私に未練がないから
迷わずに私を忘れて
泥に溶けよう空に消えよう
言葉なきものたちの仲間になろう



このように谷川の宇宙人的発想に天野はドキッとさせられる、という
谷川が 認知症になった母親のことを読んだ「おばあちゃん」という詩も 天野は絶賛!していた。






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