助産婦?
出生の秘密を持っているまりあが訪れた島で 様々な人に出会い、人格が形成されていく過程の物語。
助産院の話だから当然出産の場面が多く出てくるが すごくリアルでひょっとして小川糸さんて 助産婦の資格を持っているの?なんて思って読んだが それどころかこの本を書いたころには出産の経験もなかったらしい。
パパイアや月桃が出てくるので 舞台は沖縄をイメージしているのかな?
まりあは生まれてすぐ教会の前に捨てられていたが 育ての親に出会い、十代後半まで一緒に暮らす。その親たちに感謝の気持ちというよりも違和感を感じていた。でも 自分も身ごもっていることに気付き助産院で働くうちに 人間それぞれに悩みや苦しみを抱えていることを知り 胎動を感じるようになってからますます 生まれてくることの意味、生きていることの意味を考えるようになる。それには助産院の先生(鶴田亀子)と呼ばれる女性のしばしば語られる人生観に触発される面が多いのだが・・・。最後のほうで 育ての親から手紙で語られるエピソードには ぐっと!来た。
ただ、結末だけはえ?何?どうして?という感じで納得いかないのが残念。
竹内まりあさんの歌「いのちのうた」にあるように この世に生まれることの神秘さ、出会いの奇跡、いくつかの偶然が重なって自分がいまここに存在し、 子孫ができていくことの不思議さをも感じさせられた。 私はこれまであまり深く考えずに80年近くも生きてきちゃった~~( ^)o(^ )
糸さんはすごく食を大事にしているようで メニューは多彩で工夫されている。島だからアザミやシロツメクサ、浜大根なども出てくる。
小川糸さんは はじめ 「ツバキ文具店(ブログ2017.2)」を読んでからファンになり ずいぶん何冊も読んだが 「食堂かたつむり」「フアミリーツリー」 などもよかった。
ただ、私は読んだ本の内容をすぐ忘れ 「面白かった~」「つまんなかった~」くらいしか覚えていない。自分でもあきれるくらい忘れる。それでも次々本を借りてきて読む。この「つるかめ・・・・」も3時間くらいで一気に読んでしまった。読むのが速すぎるから忘れるというわけでもないだろう。
昔 椋鳩十さんの講演を聞きに行ったときに椋さんが「本の内容を忘れても 頭の奥にきちんと残っていて それが知らず知らずのうちに 何かの時にふっと影響してくる」というようなことを言っておられた。そのことだけをよく覚えていて 「忘れてもいい」と こりずに読んでいる ('Д') そして本を読んで知識を得ようとも思わないし、いまさらかしこくなろうとも思っていないから 没頭して本の中の世界に入っていけるだけで幸せ!というか ありがたい。幸い図書館が割に近く 書籍がそろっていて一度にかなりの冊数を借りることができるので 興味のありそうな本をパッパッと たくさん手に取ることができるというとてもぜいたくな立場だからそれが可能なのだけれど・・・
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